成人してから障害者となった選手の苦悩
パラリンピック出場者には生まれつきのハンディを抱える選手も多くいますが、中には成人になってから事故で障害者となった人もいます。
中西麻耶氏もその一人です。彼女は高校時代にソフトテニスのインターハイ出場選手でした。高校卒業後、就職してからもテニスの国体選手として参加するため練習に励んでいました。
ところが、勤務中に不運にも事故に遭って右足に重傷を負ってしまい、膝下から切断することになってしまったのです。
右足を失った後もテニスへの情熱を失わず義足を装着して練習を続けましたが、テニスに限界を感じているとパラリンピック関係者から出場を促され陸上に転向します。
義足の選手が集う障害者スポーツの陸上大会に出場したところ、最初から100メートル走などで日本記録を樹立して注目を集めました。
北京パラリンピックでも決勝進出の快挙を成し遂げますが、実は義足で跳ぶ感覚をつかみ切れず苦しんでいたのです。不安を抱えたまま迎えた次のロンドンパラリンピックでは惨敗を喫してしまいました。
すっかり嫌気がさして障害者スポーツから引退しようと考えていた彼女に投げかけたコーチの言葉が彼女の胸に刺さりました。コーチは「障害者大会への参加が嫌なら健常者と勝負すれば良い。なぜ健常者の大会に参加しないのか?」と言ったのです。
彼女は自分の甘えに気付きました。彼女は健常者の陸上大会に参加すべく新たな気持ちで練習を再開しました。目標は東京パラリンピックですが、競争は健常者と対等にやり抜きたいという強い信念が彼女を支えているのです。
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