視覚障害者と読書 ~読書の秋にしませんか?~
2022/04/09

かつて、視覚障碍者が本を読もうと思えば、点字図書館から点字本を借り出したり、ボランティアに朗読テープの制作をお願いしたりするしかありませんでした。
どちらも非常に貴重な情報と娯楽を与えてくれたかけがえのない存在ではありますが、制作に時間と手間がかかり、墨字の本と比べればずいぶんかさのはる代物です。
しかしコンピュータ技術の発展とインターネットの普及により、視覚障碍者と本の関係は劇的に変化しました。
■音訳図書
まずカセットテープの代わりにCDが登場しました。
1冊の本を何本ものカセットに分けて収録していたものが、CD1枚ですむようになりました。
図書館からの貸し出しには多くの場合郵便が使われていましたが、サイズが小さくなったおかげで貸し出し返却のコストがかなり削られたことでしょう。
テープがからまる心配もなくなりましたしね。
さらにその音声データをインターネットからダウンロードし、手持ちのプレイヤーで楽しめるようになったことで、図書館と利用者双方の手間と時間がどれほどけずられたことかわかりません。
・録音図書について(外部リンク)
www.nittento.or.jp/about/scene/recording.html
※社会福祉法人 日本点字図書館ホームページより
■点字図書
同じく点字図書も、主に郵便で貸し出しと返却が行われていましたが、点字データをダウンロードできるようになったことで、貸出・返却が非常に楽になりました。
点字データをコンピュータに読み上げさせれば、点字を使いこなせない視覚障碍者にも楽しめますし、ポータブル点字ディスプレイに点字データを入れれば、かさばる点字本を持ち歩く必要はありません。
・点字図書について(外部リンク)
www.nittento.or.jp/about/scene/braille.html
※社会福祉法人 日本点字図書館ホームページより
■より豊かな未来へ
このように現在の視覚障碍者の読書環境は、テクノロジーの発展のおかげで目覚ましい快適さを手に入れました。
サピエ図書館ではなんと10万タイトルを超える書籍をダウンロードできます。
・サピエ 視覚障害者情報総合ネットワーク(外部リンク)
www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW
※「サピエ図書館」のサービスは、こちらのサイト内にて参照できます。
加えて電子書籍の普及により、オーディオブックを自由に購入して楽しむという選択肢も増えました。
今後も視覚障碍者と本との関係がよりいっそう豊かになることを期待できるでしょう。
ナレバリコミュニティ
有料バナー
関連記事
-
-
障害のある子が「親なきあと」に安心して生活するにはどのくらいのお金が必要なのか『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』発売
株式会社主婦の友社より、5月12日(木)に『障害のある子が「親なきあと」にお金で …
-
-
これからのアクセシビリティとは? 立命館大学でウェブアクセシビリティの講演会
6月22日に京都府・立命館大学衣笠キャンパスにて「デジタル時代のアクセシビリティ …
-
-
“手から離したくない”究極の手触りを追求した会津漆器『めぐる』発売 視覚障がい者の特別な感性と漆器職人の高い技術がコラボレーション
会津で伝統工芸コーディネ―ターとしての活動を続ける株式会社明天(所在地:福島県会 …
-
-
知的障害者がパンクバンドを組んだ映画『パンク・シンドローム』
フィンランドで制作された映画『パンク・シンドローム』は知的障害者4人がパンクバン …
-
-
障がい者でも恋愛は出来る
障がい者の中でも恋愛に対する思いは様々です。全く興味を持っていない人もいれば、自 …
-
-
障がい者の働き方の多様性
どのような障がいがあっても、仕事をして自立したいと思う人は多いのではないでしょ …
-
-
やってみたいを叶えよう
「やってみたいことがあるけれど、障がいがあるからできないだろう」と思ったことは …
-
-
障がい者が自分の心を守るためには?心の健康を保つ方法
障がいを抱えていると、様々な課題が生まれてきます。その課題にぶつかるたびに、心が …
-
-
障がい者と共に働くために
職場に障がい者が来るとなると、どう接していけばよいのだろう、と正直身構えてしまう …
-
-
緘黙でも大丈夫!感謝を伝える方法。
特定の場面で、喋ったり動いたりすることが困難になる緘黙(かんもく)。 精神医 …
- PREV
- 障がいをハンデと感じるかどうかは自分次第
- NEXT
- 障がい者の働き方の多様性